トレチノイン

　トレチノインという外用薬をもちいて、おもにしみをとる治療法（にきびあとやくすみの改善にも有効）があります。東京大学医学部附属病院では、すでに1万2000人がこの治療を受けています。

　　ほとんどのしみは表皮のもっとも深い部分にある基底層にメラニン色素が沈着してできたものだといいます。

　市販の美白剤（医薬部外品）にもレチノールの仲間を配合したものがありますが、作用が弱いため、メラニン色素を追いだすことはむずかしいということです。

　　この治療は通院で行い、トレチノインは患者自身が塗ります。トレチノインを使用する期間には、強力な漂白剤のヒドロキノン（ハイドロキノン）軟膏を併用し、メラノサイトに新しいメラニンをつくらせないようにします。同時に、症状に合わせて保湿液やオイルを使用し、紫外線ケアもしっかり行います。その結果、表皮はメラニン色素の少ないきれいな肌に置き換えられるのです。

　トレチノインは、私たちの血液中にもごく微量含まれているものなので、アレルギーをおこす心配はありません。作用が強力なため、従来のレーザーなどでは治療のむずかしかった肝斑（ホルモンとかかわりのあるしみ）や炎症後の色素沈着などにもよく効きます。

　　治療期間は2か月が目安で、費用は10万円程度です。

（『asahi．com』より）

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